第3回 [科学技術が社会を変える!]
自然を相手にする「科学」と、人々の営みが作りだす「社会」。一見何の関係もなさそうですが、しかし、両者には深いつながりがあるのです。なぜなら、科学技術の革新が人々の暮らしを変え、社会の構造を変革してきたという歴史的な事実があるからです。
たとえば農耕です。農耕は古代の人類が創出した最大級の発明のひとつです。農耕を始めることで、それまで狩猟のために点々と「移動」していた人々の暮らしは、「定住」へと大きく変わりました。そして、農地を中心に村が生まれ、街へと発展し、やがて城壁に囲まれた都市となり、文明が誕生したのです。
18世紀から19世紀にかけて起きた産業革命、その背景には紡績機械や蒸気機関などの発明があります。しかし、これらの発明の基礎となったのは、「力」や「エネルギー」の謎を解明したガリレオやニュートンなど、偉大な科学者たちの功績でした。産業革命は農地から都市への人口流入を引き起こし、農村を基盤とした封建社会を揺るがして、市民が主役となる近代社会を誕生させました。
最近では、インターネットによる情報通信革命が、社会を大きく変えています。生産者と消費者が直接結ばれることで、流通業界に劇的な変化が起こりました。今後は放送や出版、音楽などのあり方も変わっていくことでしょう。また、メールやツイッターなどの新しいメディアは、人と人の関わり方を変え始めています。この現在進行中の新しい革命がどのように社会を変えていくのか、答えが出るのはこれからです。
そして、未来へ向けて、いま「環境エネルギー革命」が注目されています。産業革命は、石油や石炭を消費する炭素社会を生みだしました。その炭素の消費がCO2の増加を招き、地球温暖化という深刻な事態に発展しています。太陽光発電、超伝導、核融合、スマートグリッドなど、クリーンなエネルギーの利用は、温暖化の進行にストップをかけるでしょう。いや、それに留まらず、これらの技術革新は人類とエネルギーの新たな関係を生み、社会のあり方を根本から変えてしまう可能性を秘めています。
私たちが「宙博」を通じて皆さんにお目にかけたいもの、それは「科学」と「社会」の密接なつながりです。科学の進歩は、人間の純粋な好奇心に基づくものです。しかし、そこから生まれる発明や発見は、技術革新という成果を生み、人々の暮らしに深く関与してきます。一見何に役立つか分からないような研究から、人類の暮らしを激変させる大革命が生まれるかもしれないのです。そんな新しい視点を持って、宇宙や素粒子の研究、環境エネルギー分野の新たな取り組みなどに目を向けていただきたいと思います。そして、そのために、私たちは「宙博2010」の会場を、人類の希望の芽となるさまざまな科学技術で埋め尽くしたいと考えています。
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