はやぶさ特集[第1部] 「宙(そら)から空へ ~『はやぶさ』との歩み~」

講演時間 = 10月31日(日) 13:50-14:35

「はやぶさ」は、従来の探査機に比して、遠隔操作ではまかなえない降下・着陸機能を自律的に遂行できるよう、プログラムで動く機械でありながら、そこに教え込んだルールという自律判断機能を強化して作られた、いわばロボットでした。 打ち上げ前は、あまり手をかけなくてもよいと思われたイオンエンジンの運転も、結局はその複雑な管理をこの自律判断機能に頼ることとなりました。 イトカワへの降下・着陸は、プログラムにしたがって時系列で進むというよりも、得られたデータに基づいて、自律的な判断に基づいて遂行されました。これは初めての経験で、思いがけずも表面に座り込んで着陸を遂げたことも、この機能が発揮した結果でした。 通信途絶、そしてイオンエンジンの複合運転の確立においても、「はやぶさ」は、あたかもしつけられた子供のように、地球上の我々の期待に応えて、カプセルの再突入に向けて協力し続けてくれました。 「はやぶさ」は、地球に帰還しながらも、残念ながら飛行を継続することはできませんでした。が、カプセルをわれわれに届けてくれました。 短時間の講演ではありますが、この「はやぶさ」とともに歩んだ飛行を振り返ります。

SPEAKER

川口 淳一郎

宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 月・惑星探査プログラムグループ 教授/
はやぶさプロジェクトマネージャ

1955年 弘前生まれ。1978年 京都大学工学部卒業。1983年 東京大学大学院工学系研究科航空学専攻課程博士課程修了。工学博士。文部省宇宙科学研究所(現JAXA)助手、助教授を経て、宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所 宇宙航行システム研究系 教授。 現在、同 研究系主幹。月惑星探査プログラムグループプログラムディレクタ、小惑星探査機「はやぶさ」ミッションのプロジェクトマネージャなどを兼務。
計測自動制御学会技術賞(1987年)、日本航空学会技術賞(2004年、2007年)、文部科学省ナイステップ研究者に選出(2007年)など受賞歴多数。